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serious love

1.

[エフラム15歳、フォルデ22歳]

「?そこの…」
「…あ、エフラム様」
「!フォルデ!?…びっくりした…髪を結んでいないから、気づかなかった」
「そうですか?結構雰囲気変わります?」
「ああ…どこの背の高い女性かと…」
「あはは、それはないでしょう」
「…昔からそうだな。お前はキレイな顔立ちで…。幼い頃、俺は騙されたからな」
「あれには参りましたよ…王と俺の父が共謀するなんて。…エフラム様のあのご発言で、すぐに誤解が解けて良かったですけどね…」
「…誤解は解けたが、一度決意した思いはなかなか消えなくて、俺はどうしたらお前を妃にできるのかと、随分考えた」
「…そ、そうだったんですね…。それでカイルがあんな必死だったのか」
「はははっ、そうだったな。俺がそのことを口にする度に、凄い形相で諭された」
「…目に浮かびます…」
「それで結婚は諦めはしたが…今でも俺は、お前が好きだぞ」
「………それは…」
「深い意味で、な。…まだ…今は、それでも…いいだろ」
「………」
「ああ、何も言わなくていい。お前は十分、俺の我儘な想いに応えてくれているから」
「…エフラム様…」
「…髪に…触れてもいいか?」
「…どうぞ」
「………サラサラだな…気持ちがいい。凄く綺麗だし…本当、女性のようだ」
「…正直、俺も気に入ってるんです。母譲りのこの髪は…だから、切らないんですよ。…面倒ってのもありますが」
「そうか。…母親譲りなのは髪だけではないのだろう…?」
「…はい…よく、言われましたね、それは」
「やはりな…少し、気になった」
「………」
「……フォルデ、こっちだ」
「…っえ…エフラム様?」
ガサ…。
「…ま…まさかエフラム様」
「そのまさか、だ。お前が憂いた顔などするからだぞ」
「そっ、そんなつもりじゃ…」
「…触れるのは…マズかったな。我慢が利かなくなる…」
「我慢して下さると助かるんですが」
「もう遅いな」
「……っ…!」
「………」
「……ぅ……っ…」
「………ハ…」
「……ん、………はぁ……」
「…フォルデ……」
「!まっ…、エフラム様っ…何をするおつもりで…」
「…何って…」
「…先は駄目です。約束ですよね」
「……分かった。今は止めよう」
「…どういう意味です?」
「……聞いてくれるか」
「それは…もちろん」
「俺が、近々グラドへ留学することは知っているな」
「はい。確か…半年ほどでしたよね」
「そうだ、半年だ。半年も…お前と会えない」
「……半年なんて、あっという間ですよ。過去にも…俺が任務でそのくらい会えなかったこと、あったじゃないですか」
「今の俺にとっては長いんだ」
「………」
「だから…その前に……そう思っていたから、さっきはつい…動いてしまった」
「………」
「…フォルデ…」
「……お気持ちは、解りました。けど、俺がそれを受け入れるのは、ちょっと難しいです」
「……立場…身分か?それとも性別か?…あとは…歳の差か?」
「それら全てを含めた上で…まあ色々と。複雑ですから」
「………」
「…まあ、この関係を続けておいて…と囁く自分もいる訳で…」
「…!」
「…本当、エフラム様は人を惹きつけるのが上手い方だ」
「…お前に惹かれて止まないのは、俺の方だ。だから、駄目だと分かっているのに…先をと求めてしまう…」
「……俺、多分…エフラム様に求められるのは…嫌ではないです。…深い意味で」
「!フォルデ…」
「それでも今は駄目なんです。敢えて上げるなら、あなたはまだ16にもなられていないから」
「………」
「…ご留学されたら、より多くのことを学ばれるでしょう。視野も広くなる」
「…もっと成長しなければ、応えられないということか」
「…ストレートに言えばそうですね。俺はそんな事言える身分じゃないですが、一応年長者としては」
「いや、ハッキリ示してくれた方がいい。俺自身、そう思っているから」
「……はい」
「うん、そうか、なら望みはあるという事だな」
「…そういう事になりますか。…できれば、忘れて頂くのが一番な感情ですが」
「俺は…無理だと思う。が、お前は平気なんだな?」
「………」
「そうか。ありがとう」
「…半年離れても、頑張れますか」
「ああ、頑張ってくる。フォルデが、俺に想いをくれたから。それで我慢してみせるさ」
「…ええ、ご成長を期待して、待ってますからね」




2.

[エフラム、グラド留学中]

「フォルデ」
「ゼト将軍。どうしました?」
「先程、グラドよりエフラム様とエイリーク様からの手紙が届いた。読んでみるといい」
「はい。失礼します」
………
「…元気でいらっしゃるようですね」
「ああ、グラド王子リオン様とも、うまくいっているようだ。…それで、お前に頼みがある」
「何でしょう?」
「今回の返事は…私の代わりに、フォルデに書いてもらいたいのだが」
「!俺が…ですか?」
「ああ。記すべき内容はザッと伝えるから、あとはお前に任せたい…すまないが、頼めるか?」
「…分かりました」

* * *

「…ねえエフラム」
「何だ?リオン」
「エフラムはさ……好きな人っている?」
「好きな人…」
「あっ、あのね…恋愛でのってことなんだけど…」
「はは、どうしたんだ急に?気になる人でもいるのか?あ…さてはエイリークか?」
「ち、違うんだ。ただちょっと…そういう話を楽しそうにしてるメイドさん達を見かけて…」
「楽しく話せると思った?」
「……」
「…確かに女性は好きだよな、そういう話」
「エフラムは嫌いなの?」
「嫌…というわけではないが…したことはないな」
「そう…じゃあ、エフラムも好きな人、まだいないんだね」
「………」
「?エフラム?」
「…惹かれて止まない人はいる」
「それって」
「これ以上は言わない」
「…ふうん。複雑なんだね」
「…ああ、そうだな…複雑だ」

* * *

「兄上!」
「…エイリーク」
「ルネスからお手紙が届きました。私は読んだので、どうぞ」
「ありがとう」
「今回は、ゼトが書いたものではないんですよ」
「そうなのか?」
「…誰だと思います?」
「…?」
カサ…
「!…この…字は…」
「筆跡でお分かりになるなんて、さすが兄上ですね。ほら、最後に名前も記されています」
「…フォルデ…」
「フフ、珍しいですよね。忙しいゼトに頼まれて、代筆したそうですよ」
「そうか…。…エイリーク、この手紙…俺が持っていてもいいか?」
「はい、もちろん。では、失礼しますね」
「ああ…ありがとう」
………
「……内容は…報告書のようなものなのにな…」
(…物凄く嬉しい…)
「…やはり俺は…忘れることなどできない…」
(…お前に逢いたい)
「……フォルデ…!」




3.

[エフラム帰国、数週間後]

「…そろそろ再開するぞ」
「げ…まだやるのかよ…今日は十分すぎる程訓練したろ?手合わせだって何回したか…」
「甘いな。お前はもっと持久力をつけるべきだ。大体、最近不抜けてるお前に気合いを入れる為に、俺が付き合ってやっているというのに…」
「…何つうか…ありがた迷惑?」
「フォルデ!…やはりまだ足りないようだな…」
「…だからさあカイル、俺もいつも言ってるけど、何事もほどほどが大事なんだって。やりすぎは体調やペースを崩す原因になりかねないんだぜ?」
「…今の俺には、サボる口実にしか聞こえんな」
「…頑固者」
「………。じゃあ、あと一回俺から槍で一本取れたら終わりにしてやる」
「う……。カイルのスパルタ〜」
「うるさい、早く構えろ。最低あと一回で済むんだぞ」
「……それ、二言はないな?」
「ああ、今のお前にやれるものなら」
「……はあ〜、じゃ、あと少し頑張るか…」
(まあ…確かに、いい気晴らしにはなってるけどな…)
「…!」
「?どうし…あ、エフラム様」
「二人とも、精が出るな」
「は…」
「いや〜、こいつがスパルタでもうヘトヘトですよ」
「お前は…」
「はは、実は上で少し見ていたんだ。実力者同士の手合わせは、見ていて飽きなかった」
「ありがとうございます。それで…我等に用がおありですか?」
「ああ…混ぜてもらおうと思って来た」
「混ぜ…ってそれは…」
「フォルデ…まずお前に手合わせを願う」
「エフラム様…けど」
「グラドで…俺が槍をデュッセルに師事した話はしたな」
「はい…」
「だから試したいんだ。今の俺の実力がどれほどのものか。言っておくが、手抜きはなしだ。本気でやってくれ」
「それは…難しい…かと」
「ハッキリと知りたいんだ。それに、お前達にも知ってもらいたい。俺の成長を」
「!……」
「………」
「…分かりました」
「フォルデ!?」
「エフラム様がそう仰るなら、俺は敬意を持って…本気でお相手します」
「…ありがとう、フォルデ」
「………」
(…明らかに…目つきが変わった。フォルデ…お前本当に…)
「カイル」
「…ああ…分かった。…エフラム様、これをお使い下さい。訓練用の…今フォルデが持っている槍と同じものです」
「…ありがとう、すまないなカイル」
「いえ…では私は見届け人を」
「……よし。いつでもいいぞ」
「………」
「……始めっ」

* * *

ヒュッ……ピタ。
「!!……」
「………ここまで、ですね」
「……ああ…俺の負けだ」
「………」
(…若干気遣いと実力の様子見はあったが…本当に容赦なしか)
「……はあっ、もう少し粘れると思ったんだが…流石だな」
「…エフラム様、半年でかなり腕を上げましたね。正直驚きました」
「そうか、ありがとう。…お陰で改めて、フォルデがいかに強いかを実感できた。己が強くなれば肌で相手の強さが分かるというのは本当だな。かなり緊張した」
「それは…本気を出した甲斐があったってもんです。ありがとうございました」
「ああ、こちらこそ。…さ、次はカイル、お前との手合わせを願いたいが?」
「私もですか」
「当然だろう」
「エフラム様、ならカイルが先の方が良かったかも知れませんね」
「?」
「言っておきますが、槍の実力なら俺よりカイルの方が上です」
「え、そうなのか」
「……そんな、大差はないですが、私は剣より槍の方が得意ですから」
「成る程。いやそれでも、ちゃんと本気出してくれよ」
「はい、エフラム様がそうお望みでしたら」
「……それじゃ、いいですか……始めっ」

* * *

「…結局、手合わせ一回じゃすまなかったなぁ…疲れた…」
「エフラム様が来られて、よい刺激になったな。あの方は本当に…お強くなられた」
「ああ。あの様子だと、高みを目指してどんどん実力つけていくんだろうな…」
「…大陸一の傭兵は目指されても困るがな…」
「ははっ、確かに」
「……なあフォルデ」
「ん?何だ?」
「……。いや…やっぱりいい」
「…カイル?」
「今度、改める。今日は…早めに休むことだな」
「……言われなくとも、そうなるって」


to be continue...?

コメント

ギャグから打っているうちにあれよという間に生まれたお話です。
ちゃんと小説にするかも迷ったんですが…会話のみも想像広がっていいかなあということで…。
誰の台詞か分かりづらかったらスミマセン。ギャグなら色分けできるんですけど。
えと、エフフォルのなれそめという感じでしょうか…。
端っからフツウにアレですけど(笑)キスとか包容とか、そのレベルですまだ。
ベクトルはエフラムのが大きいし、流されて始まり…ですが、想いあってる前提の話です。

(2005.5.24)

後編はこちらです。

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