—気が付くと、姿を捜している。
そんな自分に戸惑うことは、もうないが—。
「…あいつまたあんな所で…」
木の幹にもたれうたた寝をする相手を見つけ、カイルは小さく溜め息をついた。
ゆっくり近づいて声をかける。
「……フォルデ、起き…」
が、相手の顔に思わず言葉を止める。
(…涙…?)
閉じられた瞳から細く流れるものに、カイルは目を奪われた。
「……」
(…フォルデ…また、お前は…一人で泣くのか?)
戸惑うのは、こんな時。
こんな時、自分は…—。
「…ん…」
「!」
「………れ、カイル…?」
「……」
「…起こしにきたのか…」
「…あ、ああ…。お前、どうして何時も寝ていられるんだ…」
「…ふあぁ…ん、さぁ…どうも眠いんだよな…」
「……」
「…さってと……。で?」
「…!」
「…他は?」
「…あ、いや…。何でもない…」
「……そう」
「……」
「………別に、聞いてもいいんだぜ」
「!」
「……」
「……無理には…聞けない」
「じゃあ、そんな顔するなよ。かえって気になるだろ?」
「…すまない」
「……ま、そこがお前のいいトコでもあるんだけど」
「……」
そう笑って、フォルデは背を向ける。…思わず、身体が動いた。
「……フォルデ」
「?何…。…!」
「……」
「っ……カイル?」
「……」
「……こういうことは、躊躇わないよな…案外」
「…すまない…だが…」
他に、思い付かなかったから。
支えになれるような方法が。
口には出さず、腕に力を込めると、フォルデはこちらの肩に頭を預けて言った。
「……まあ…そういうトコも、嫌いじゃないけどな」
そして背に、手の温もり。
カイルは優しく微笑んで、フォルデの髪にそっと触れた。
涙の理由など分からなくても。
ただ、心の支えになれたらと。
そう思いながら俺はまた…お前の姿を捜すのだろう。
fin.
ちょっとした切な交流を綴ったモノです。
オフ本1冊目のラストに入れようと考えた、漫画候補でした。
でもこれぞ趣味走り過ぎって思ってやめ…せっかくなのでここに晒し〜。
何と言うか…こういうイメージなんですよ。
あと私…片方が寝ている&無意識涙ってシチュが好きみたいで…つい書いてしまうのです(苦笑)
(2005.8.25)